3月11日 予算特別委員会

◆委員(井上ノエミ君) 
 今日は北斎美術館についてお伺いします。
 北斎美術館は、完成すれば相当の赤字を出すことになりそうです。これまでの山崎区長のご答弁では、外国人観光客を多く取り込みたいということでした。しかし、北斎の作品を持っている美術館は世界にたくさんあります。例えばアメリカのボストン美術館は多くの北斎コレクションを持っていて有名です。また、ニューヨークのメトロポリタン美術館も400点の北斎のコレクションを持っています。国内では小布施の北斎館があります。私も視察しました。また、両国の江戸東京博物館は「冨嶽三十六景」を46点すべて持っています。墨田区の北斎美術館は世界的に見て、これらの美術館と競争できるでしょうか。江戸博で浮世絵を見れば、それで十分という観光客も多いと思います。わざわざ北斎美術館まで行って見ようというだけの価値をつくれるかが問題だと思います。現在の墨田区の持っている北斎のコレクションから見て、北斎美術館は世界においてどの程度のレベルの美術館になれると山崎区長はお考えになっているのかお伺いします。
 北斎美術館が世界でナンバーワンの美術館になれれば、世界から多くの観光客を集めることができるでしょう。墨田区民も誇りが持てると思います。山崎区長は、北斎美術館を世界でナンバーワンの美術館にする覚悟と自信があるのかお伺いします。

◎区長(山崎昇君) 
 今ご紹介ありましたアメリカの大きな美術館では北斎の資料もたくさん保有をしております。日本でも北斎美術館というのは幾つかあるわけでございまして、私は今度のすみだ北斎美術館は、北斎資料を単独で公開するそういった施設というふうに位置付けておりまして、例えばボストン美術館のようにいろいろな資料を同時に展示するというものではない。単独の施設ということにしたい、そのように思っています。
 そういった中で、しからば他の美術館に太刀打ちできるのかということでございますが、現在私どもが持っている資料から言いますと、到底それは太刀打ちができるような状況にはございません。したがって、今回の北斎美術館については公開承認施設ということで、そういった北斎の資料をたくさん所有している美術館と交流をして、そしてそこから資料をお借りして、このすみだ北斎美術館で展示するということによって、私は多くの来館者に訪れていただけるのではないかというふうに考えております。この北斎美術館の建設をするに際して、そういった他の国あるいは他の施設との交流を是非積極的に進めさせていただきたい、そのように思っている次第でございます。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、北斎美術館の平面プランでは、常設展示室は4階の半分しかありません。3階と4階の半分が企画展示室です。これはなぜでしょうか。展示する作品がない、又はアイデアがないのでしょうか。ほかの美術館と差別化するためには企画展が大事ですが、人を呼び込むには相当よい企画が必要です。どのような方針で企画展を行うのかお伺いします。

◎区民活動推進部参事(鹿島田和宏君) 
 北斎の作品は浮世絵という性格上大変脆弱であり、扱いが困難なものでございます。そのためにずっと同じ作品を掲げておくことはできません。常設展示につきましては、北斎の生涯、その人物であったり、墨田区とのかかわり、国内外に与えた影響について、ここできちんと見ていただきたいというふうに考えてございます。それと相乗効果を発揮するように、大切なのはご指摘のとおり企画展だというふうに考えてございます。企画展は私どもが持っている北斎作品に限らず、北斎のそういったいろいろな切り口のものについて見ていただくような方針で企画展示をさせていただきたいというふうに考えてございます。そういった相乗効果を図りつつ、多くの方に来ていただくような美術館にさせていただければというふうに考えてございます。

◆委員(井上ノエミ君) 
 外国人観光客についてお伺いします。
 昨年日本を訪問した外国人は1,000万人を超えました。韓国から250万人、台湾から220万人、中国から130万人とこの3カ国で600万人です。韓国や台湾、中国の方はショッピングが目的だと思います。北斎美術館に多くの中国人の観光客が来ることはあまり期待できないでしょう。北斎は欧米の方に大変人気があります。しかし、アメリカからは80万人、フランスからは15万人、ドイツからは12万人と全部で100万人程度です。それほど多くないですね。また、若い人はアニメや秋葉原に関心があります。そうなると、外国人観光客を集客するのも大変だと思います。北斎美術館を訪問する外国人観光客のニーズは、どの程度と考えていますか。

◎区民活動推進部参事(鹿島田和宏君) 
 先ほどの経済波及効果の試算のところでもお示しさせていただいておりますとおり、開館1年目20万人、3年目以降14万人程度ということで北斎美術館の入場者数は予測しているところでございます。ただ、その中で外国人の観光客の方がどのくらいなのかということについての内訳についてまでは、まだまだ十分な推計ができていないところでございます。ご指摘のとおり、欧米の方につきましては、東洋の北斎の作品について非常に魅力を感じられているというふうに私どもも捉えてございます。江戸東京博物館での大浮世絵展についても大ヒットだったのではないかというふうに思ってございますので、この北斎美術館の入館者数にプラスアルファになるように、外国人の方々を取り込むことができるような展開をさせていただければというふうに思います。

◆委員(井上ノエミ君) 
 外国人の訪問客を増やすには国際的な知名度が必要です。墨田区は外国でのプロモーション活動を考えているようですが、それもやるべきだと思います。それ以外にアメリカ、フランスなどの新聞の美術担当者や美術評論家を日本に招待していただきたいと思います。アメリカでは、ニューヨークタイムスやワシントンポストの記者は大変影響力があります。また、旅行関係のライターも招待したいですね。是非このようなことを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

◎区民活動推進部参事(鹿島田和宏君) 
 これから建設させていただくということになりますならば、この予算特別委員会でもご答弁させていただいておりますとおり、プロモーションについては強化していかなければいけないということを考えてございます。そのためには、国内だけではなくて国外の、ご質問にあったようなところにもネットワークを広げていかなければいけないというところでは、私どもそういったところにも力を入れさせていただければというふうに思います。

◆委員(井上ノエミ君) 
 国際的にも有名な美術館をつくるには外国人の学芸員を入れる必要があります。外国人は1年ぐらいの短い契約でも来てくれます。ただ、外国人の場合は給与を増やす必要があります。赴任手当や1カ月程度のホテル代などと手当も必要です。ボストン美術館の学芸員でセーラ・トンプソンという女性がいます。この方は日本美術課の課長で浮世絵の専門家です。日本でも名古屋ボストン美術館で講演しています。このような専門家に来てもらってアドバイスしてもらえば一流の美術館ができると思います。私は今年の夏にボストンに行く予定です。ボストン美術館を訪問してトンプソンさんに会いたいと思っています。是非外国人の学芸員を入れることを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

◎区民活動推進部参事(鹿島田和宏君) 
 北斎美術館の運営につきましては、区が直営ということではなくて、指定管理者制度を導入してやらせていただければというふうに思ってございます。そのためには私どものほうで要求水準をつくりまして、その要求水準に見合ったような展開をしていただける事業者を選ばなければいけないというふうに思ってございます。その視点では、海外の観光客の方への取組、今ご指摘いただいたような海外の方からのアドバイスなんかについても必要だというふうには考えてございます。ただ、そのためにはその企画展をどうしていくのか、どういった切り口でやっていくかということが必要になってくると思います。ご質問にありましたように、魅力的な企画展とさせていただくために海外の学芸員を入れる必要があるということについて私どももやはり考えていて、そして招聘なり指定管理者の方々に要求水準として求めていかなければいけないのではないかなというふうに思ってございます。

◆委員(井上ノエミ君) 
 最後に、ミュージアムショップについてお伺いします。
 ミュージアムショップにさまざまなお土産をそろえることは大変大事です。私は北斎のどんな製品が売られているかインターネットで調べてみました。外国では襟に北斎をプリントしたシャツが売られています。外国人の好むデザインが必要です。例えばバッグや傘やドレスなどはどうでしょうか。墨田区は地域ブランドを推進していますから、是非ミュージアムショップで売れる製品の開発に力を入れてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

◎区民活動推進部参事(鹿島田和宏君) 
 北斎の作品は「冨嶽三十六景」だけではなくて、本当に多岐にわたるいろいろな題材をテーマにして作品を残してございます。ただ、そういった作品について、例えば区内事業者の方々はまだ十分にご存じではないところがございますので、まずはそういった中身について北斎のことを知っていただく必要があるのではないかなというふうに考えてございます。そして、その区内事業者がつくられた商品につきましては、区だけではなくて世界中で売れるようになるということを、事業者の方々がご相談に来たときにはご紹介をさせていただいているところでございます。現在につきましても、産業振興部門と連携をさせていただきまして、商品づくりにはデザインが必要だというふうに思ってございます。デザインにきちんと気を配れるような、若しくは売れる商品づくりということについて今現在も取り組ませていただいてございます。北斎美術館のミュージアムショップだけではなくて、世界に通じる商品を区内の事業者さんにつくっていただけるような取組に力を入れさせていただければと思ってございます。


○委員長(出羽邦夫君) 
 以上で、みんなの党の質疑を終了いたします。
 議事の都合により、暫時休憩いたします